実例紹介!プラントベースの食事で健康を取り戻した人々

アメリカには、ホールフードプラントベースと呼ばれる健康的なプラントベースの食事で健康を取り戻す人が大勢います。

ホールフードプラントベース(以下WFPB)とは、ホールフード(生鮮食品を丸ごと)を中心とした植物性の食材で構成された食事。低脂質のWFPBが、肥満、高血圧、高コレステロール血症、心臓病、糖尿病、がんなどの病気を予防、場合によっては逆転させることは科学的にも裏付けられています。その他にも、ニキビ、関節痛、アルツハイマー型認知症、喘息、うつ病、IBS(過敏性腸症候群)、腎臓病など、WFPBが様々な病気に効果を発揮する例が数えきれないほどあるのです。

私が働くジムにもそのような病気を抱えている人が体重を落とす目的で大勢来ます。余分な体重を落とす方法は色々ありますが、健康的であるとは限りません。一時的に体重を減らす方法には健康状態を悪化させるものもあります。また、体重を落とすことができても、その体重を長期間維持できないケースが少なくありません。WFPBは、健康状態を取り戻すことで自然に健康的な体重まで落とし、その体重で安定する食事法なのです。

「たかが食事で病気が良くなるわけがない」と思い込んでいる人は少なくありませんが、WFPBを実践することで薬の数や量を減らすことに成功したり、断薬できることは珍しくありません。それほど食事は大きく影響するのです。

この記事では、フォークス・オーバー・ナイブス(Forks over Knives、以下FOK)と呼ばれる情報サイトで紹介されているプラントベースの食事で健康を取り戻した人たちをご紹介していきます。ビフォーアフターの写真付きで実践者の紹介記事を載せているので、ぜひ参考にしてください。

 

フォークス・オーバー・ナイブス(FOK)とは?

病気を予防・逆転させて健康を維持することができるプラントベースの食事についての情報サイトである“Forks over Knives”は、「手術(ナイフ=メス)の代わりに食事(フォーク)で健康状態を改善すること」を意味しています。

様々な関連トピックを扱った記事、モバイルアプリで利用できるレシピ・ミールプランナー、クッキングコース、初心者向けガイドなどがあり、WFPBの食事を実践していく上で大きなサポートとなるウェブサイト。WFPBを楽しく継続できるヒントがたくさん詰め込まれているだけでなく、医師や栄養士など多数の専門家が監修していて安心。2011年にはFOKのドキュメンタリー映画も制作されており、書籍はニューヨークタイムズのベストセラーになっています。FOKの雑誌はアメリカの書店やスーパーに並んでいて、最近ではWFPBの冷凍食品も販売されています。 

 

 

WFPBで健康を取り戻した実例

それでは実例をみていきましょう。

 

子どもの頃から肥満で、ラクトオボベジタリアン(肉は食べないが牛乳・乳製品と卵を摂取)の食事を試しても効果がなく、産後に体重が約120キロになったアンドレアさん。甲状腺機能低下症、2型糖尿病、非アルコール性脂肪肝があり、動くことも難しく、膝を手術することになっていたそうです。初めは「食事をヴィーガンにすればよい」という誤った理解から体重が約15キロも増えてしまったそうですが、WFPBで加工食品を避けるようにしたところ70キロ近く落ちて体重が半分になり、肌がきれいになり、エネルギーが増えたとのこと。2型糖尿病と脂肪肝も逆転し、膝の手術も必要なくなりました。「WFPBは量をたくさん食べることができるのがよい」と話しています。

 

 

ジョンさんは、子どもの頃から体重に問題を抱えてきたそうですが、旅行先で不自由な思いをしたり、健康診断でコレステロールが350を超えていて、「我が子の成長を見られないかもしれない」と感じたことをきっかけにWFPBを本格的に開始(過去にもWFPBを短期間のダイエットとして実践したことがあり、2か月もしないうちに楽に20キロ近く落としていた経験があったとのこと)。体重は50キロ近く落ち、コレステロール値も130以上(悪玉コレステロールを半分に)低下。以前は坂を上るだけで汗だくになっていたのが、今では止まることなく30分も走れるようになったそうです。

 

 

イヴォンさんはペスカタリアン(肉は食べないが魚介類を食べる)になり110キロ以上あった体重を20キロ以上落としたそうですが、それでもまだ過体重であり、疲労感、ブレインフォグ(思考力や集中力の低下)があったそうです。加工食品の中毒性やカロリー密度の原理を知り、食事をWFPBに変えたところ、ジャンクフードの依存性に翻弄されることがなくなったとのこと。双極性障害、不安神経症、うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受けていますが、調子の悪いときはそれに気づいて自分をケアしてあげることができるようになったそうです。体重が減っただけでなく、思考がクリアになりメンタルヘルスも改善した例です。

 

 

スティーブンさんとソニアさんのカップル。スティーブンさんはベジタリアン(肉を食べない)の家庭で育っていますが、加工食品を頻繁に食べていて両親もご本人も過体重だったそうです。十代になってから肉も食べるようになり、炭水化物を制限するダイエットにより一時的に痩せたもののリバウンドしてしまい、元の体重よりも重い約155キロ になって自殺を考えたことまであったそうです。ソニアさんも炭水化物や食事量を制限するダイエットをしていたものの体重が増え、顔には重度の湿疹ができ、便秘に何週間も悩まされ、常に体に疲労感がありました。二人とも「体質なのだろう」と諦めていたそうですが、プラントベースの食事を開始して加工食品だけでなく塩、砂糖、油を避けるようになって数日でスティーブンさんは偏頭痛がなくなり体重を70キロ近く落とすことに成功。ソニアさんは顔の湿疹が完全にきれいになり、体重を約20キロ落とすことに成功。今では処方薬も使用することなく自転車やランニングを楽しんでいるそうです。

 

 

バイロンさんは、心臓病の家族歴もなく、コレステロール値も低く、ストレスもほとんどない生活を送り、タバコも40年間吸っていなかったにもかかわらず心筋梗塞で倒れてしまいました。それまで、魚、鶏肉、乳製品、卵、オイルなどを使った食事(赤肉は避けていた)をしていましたが、ヴィーガンの友人をきっかけにプラントベースの食事の利点について知り、WFPBを実践したところ3か月で体重が約10キロ減り、血圧が安定し、心臓に関連した目眩いや吐き気も消失。わずか3か月でステント(血管内部から支え、狭窄を改善して十分な血流を得る治療方法)のためのアスピリンを除く全ての薬をやめることができ回復。老後を楽しめるようになったそうです。

 

 

子どもの頃から過体重でしたがスポーツが好きで警官になろうとしていたカソウムさんは、アメリカに来てから体重が増え続けて気付けば120キロ以上に。子どもができたことなどをきっかけにヴィーガンの食事を経てWFPBへと移行したところ、1年半で55キロ近く落とすことに成功。「今が一番幸せ。エネルギーがあるので、昔の食生活には戻らずにプラントベースをずっと続けたい」とのこと。

 

 

「高血圧で糖尿病予備軍である」と診断されていたジョシュさんの体重は、長女が生まれた時に約190キロありました。ジョシュさんの妻も乳製品の消費から胆嚢結石になり胆嚢を切除していましたが、「子どものためにも健康的な食事をすべきである」と決意し、夫婦でプラントベースの食事を実践することに。プラントベースの食事を始めたジョッシュさんは体脂肪が減っただけでなく高血圧の薬をやめることができ、体重は約90キロも減少。ランニングと筋トレもできるようになり、子どもをプラントベースの食事で育てながら大学院に通い、主に低所得世帯の子どもの発達を助けるプラントベースの食事療法の介入について研究されているそうです。

プラントベースの食事を実践する以前にも数々のダイエットを試したことがあり、ケトジェニックダイエットをしていた当時は怠さを感じていたそうです。

 

 

アンドレアさんは10年間にわたり関節リウマチによる酷い痛みと疲れに悩まされていました。赤肉、塩、オイル、カフェイン、精製糖、アルコールの順にやめていき、段階を踏んでWFPBに移行。空腹を感じることなく体重が7か月で約25キロ落ち、関節リウマチの痛みも消失。現在は自己免疫疾患を患っている40代以降の人を対象にピラティスのオンラインプログラムを作成しているようです。

 

 

ケンダルさんは30年間ものあいだ、医療機関でも診断のつかない関節痛、そして繰り返す発熱に悩まされていましたが、プラントベースの食事を試してみたところ1週間で関節痛と発熱が和らぎ始めたと言います。痛みと炎症が徐々になくなっていき、3か月で症状が完全に消えたとのこと。良性発作性腹膜炎という珍しい遺伝子疾患である可能性が最近判明したようですが、確実な治療法はなく、症状を完全に抑えることができるのでプラントベースの食事を継続されていて調子が良いそうです。

 

 

30代前半で体重が約170キロあり、高血圧、高コレステロール、2型糖尿病になりかけていて、「40歳まで生きられないかもしれない」と医師に言われていたジャスティンさん。ベジタリアンでしたが、加工食品を大量に食べていたそうです。子どもが生まれたことをきっかけにプラントベースの食事を開始。加工食品への強い依存性から離れるために味覚と脳をトレーニングしたことで、それまでの問題が全てなくなり、健康そのものになったそう。

 

 

わずか25歳で高コレステロール、高血圧、肥満に悩んでいたブリタニーさん。プラントベースの食事で肥満だけでなく慢性的な炎症も解決し、ロッククライミングとランニングをされています。

 

 

高コレステロールと重度の関節炎を抱えていたビルさん。奥さんは7年前にベジタリアンになったもののコレステロールを下げられませんでした。夫婦で肉、チーズ、高度に加工された食品の消費を全て一気にやめたところ、2か月もしないうちにコレステロールは104も低下。9か月で約20キロ、奥さんは15キロ近く体重を落とすことに成功。減量のために努力をしたわけではなく、自然に落ちたと言います。関節の痛みが原因でできていなかったランニング、水泳、自転車などの運動も再開。この食生活を3年以上続けていて、後悔があるとすれば「この食事をもっと早く始めなかったこと」だそうです。

 

 

ニューヨーク市の市長を務めるエリック・アダムス氏は、A1Cが二桁(6.4%を超えると糖尿病とみなされる)で、手足には神経症状があり、視力も改善しないだろうと医師に言われていましたが、プラントベースの食事で糖尿病を逆転させた一人です。WFPBを実践してわずか3週間で視力が回復し、A1Cは5.7%に低下、手足の痛みもなくなり、血圧とコレステロールは正常値に。この経験からニューヨーク市の公立校にプラントベースの給食を導入するなど、精力的に活動されています。

 

 

ここでご紹介した例以外にも、FOKのウェブサイトではプラントベースの食事で健康を取り戻した人の例が数多く紹介されています。体験者に共通する大きなポイントは、「無理な食事量の制限がなく、好きなだけ食べて健康状態を改善できる」「長期的に継続できる」ということです。

何もしなければ次第に悪化していく病気がたくさんあります。薬で症状を抑えることはできても、服用を続けても病気が治る可能性は低いでしょう。薬には副作用がありますが、食事の改善には副作用がありませんから、「病気になったものは仕方ない」と諦めてしまう前にWFPBを実践してみる価値があるのではないでしょうか。失うものは何もありません。

WFPBの実践には、高価なサプリメントを買う必要もなければ、凝った料理を作る必要もありません。忙しくて料理に時間が割くことが難しくても、慣れてしまえば簡単に実践できます。家事の手間は減り、食後に体や頭の働きが重たくなってしまうこともないので、むしろ時間をより有効に使うことができるようになります。

WFPBの詳しい実践方法と効果は、私の電子書籍「PLANT POWER」にて日本語でご紹介しています。健康診断に引っかかった方、糖尿病(予備軍)の方、余分な体重を落としてキープしたい方、その他様々な不調に悩んでいる方は、是非WFPBにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。