エバーラストのボクシンググローブ パワーロック(12オンス ベルクロ)
アメリカを代表するボクシングブランドであるエバーラストの大人気商品、「パワーロック」をご紹介いたします。
アメリカではエバーラストのシェア率は8割とも言われていて、ジムでも誰もが使っている印象があり、歴史的な試合でもよく使われてきました。
拳を適切な位置にロックすることを意味しているパワーロック。”choice of champions”の文字通り、ディオンテイ・ワイルダー、テレンス・クロフォード、ミゲール・コトー、マルコス・マイダナ、コナー・マグレガーなどの有名選手が試合や練習で使用していて、日本では村田諒太選手のお気に入りのグローブとして知られています。
ディオンテイ・ワイルダー選手
テレンス・クロフォード選手
ミゲール・コトー選手
マルコス・マイダナ選手
コナー・マグレガー選手
村田諒太選手
この記事で紹介するグローブの正式名称は、「パワーロック フック&ループ トレーニング グローブ」。
パワーロックは、これの他にも、
- 紐式である「パワーロック レース トレーニング グローブ」
- プロ選手の試合用である「パワーロック プロ ファイトグローブ」
があります。
「パワーロック2」も販売されていますが、オリジナルのパワーロックは発売開始からずいぶん経つものの根強い人気があり、現在も生産が続いているようです。
<グローブの見分け方>
ベルクロ(マジックテープ式)の「パワーロック フック&ループ」は2種類あります。当記事で紹介しているのは、定価99.99ドルの本革製グローブであり、定価$59.99の人工皮革製のものではありません。
では、本革製と人工皮革製の見分け方を説明します。
人工皮革製のものは、親指の部分にエバーラストのロゴであるEの表示があり、ベルクロの手首内側部分にもEのロゴがあります。そして中国製です。
本革製のパワーロックには親指の部分にエバーラストのロゴがなく、代わりにPOWERLOCKの表示があります。そして、ベルクロの手首内側部分にもエバーラストのロゴがありません。こちらはインドで製造されています。
人工皮革製のグローブは、軽く汗をかく程度の運動に使うのでしたら悪くないかもしれませんが、本格的なボクシングの練習に使うと、すぐに壊れてしまいます。パワーパンチを打てる人の場合、一日で壊れることもあるでしょう。
アメリカ在住の人はスポーツ用品店でパワーロックを見かけることがよくあると思いますが、お店で見かけるものは大半が人工皮革製のものです。
<パワーロックの重量>
パワーロックのトレーニング用グローブは、ベルクロ、レースともに、12、14、16、18オンスが販売されています。
プロの試合用グローブである「パワーロック プロ ファイトグローブ」は、8オンスと10オンスのみの販売となっています。
前回の記事でグローブのサイズの選び方について説明しましたが、 私は軽量級なので12オンスのグローブを使っています。
海外のブランドは実重量が1オンス以上も違うことがありますが、エバーラストのグローブは重量に関して信頼性が高い方です。
とはいえ、このグローブは、右が349.1g、左は347.3gでした。
12オンスは336gなので、左右ともに10g以上の誤差があり、重いということになります。
<着用感、質感>
グローブ全体のバランスがとても良いグローブです。拳の部分が重すぎたり、手首側(拳の反対側)が重すぎるなどの問題がありません。
手作りではなく大量生産のグローブですが、親指の根元も含め全体的に縫い目がしっかりしていて、 内側はポリエステルなので汗や湿り気にも強いです。
指先の縫い目の部分にワイヤーがあり、そのワイヤーに指を引っ掛けて握り込む仕組みになっているのですが、 小指が長くないと、いまいちフィットしません。 私の場合、小指が薬指に多少喰い込むというか、指2本がやや重なる状態になってしまうので窮屈に感じます。
グリップバーは太すぎず細すぎず、握り込みやすいです。握った感触も良好。
私は手が大きい方なのですが、サイズはちょうどよいです。
全体的に硬めのグローブなので、グローブをはめた状態で指先を真っ直ぐに伸ばそうとすると、けっこう硬いです。
手首の繋ぎ目の部分が柔らかいので、手首の保護にはやや不安があります。
日本では「エバーラストは拳のパッドが薄い」と言われていますが、パワーロックはパッドの上から拳を触ろうとして指でグイグイ押しても、あまり拳の感触がありません。
ウイニングと比べるとエバーラストのグローブはパッドが薄いですが、拳のクッションは硬すぎず柔らかすぎもせず、ミディアムソフト。 よい具合にクッションが利いています。
ベルクロは頑丈ですが、手首が細いとベルクロがこのように余ってしまうので、マスボクシングに使うとややリスクがあります。
手の平はメッシュではないし空気穴もありませんが、じゅうぶん快適です。
親指の保護に優れています。親指の先端部分の保護がイマイチなグローブがよくありますが、パワーロックは親指先端の保護もしっかりしているし、突き指などの心配も少ないでしょう。もちろんサミング防止設計になっています。
グローブの中で親指を握った感覚は、とてもしっくり来ます。
手の平や手首内側には十分にパッドがありますが、手首外側のパッドは薄くて1㎝ぐらいの厚さしかなく、しかもパッドの質がよくないです。
パワーロックの名前の通り、腕から手首と拳にかけて、理想的な状態で固定してくれるグローブ。
同じく12オンスのウイニングやグラントなどのグローブと比べると、随分小さく、攻撃的な印象を受けるデザインです。
<使用した感想>
拳がまっすぐ当たるようにデザインされていて、使い始めは硬い印象がありましたが、握りやすいし、使っているうちにすぐに馴染みます。
拳のパッドは厚くはないのですが、弾力があるので拳の保護にまあまあ優れていて、拳がまっすぐ当たりやすい設計になっているので怪我をしにくいと思います。
<サンドバッグを叩いた感想>
サンドバッグを殴りまくるのが好きな人には、このグローブはオススメできません。強くて重いパワーパンチを打てる人が、このグローブを使って重いサンドバッグを打つと、けっこう短期間でダメになってしまいます。早ければ半年以内に寿命が来ると思います。
重いサンドバッグではなく、軽いサンドバッグを打つなら、それなりに長持ちしそうです。
ダイエット目的でサンドバッグを打ちたいだけの人や、まだパワーパンチが身についていない人が使うのでしたら、すぐに壊れることはなさそうです。
<ミット打ちに使用した感想>
コンパクトなグローブなので拳がビュンビュン飛んでいく感じがします。まるで12オンスではなく10オンスのグローブなのではないかと思うほど軽快です。
拳が当たる部分が平らですし、よい意味でパッドが柔らかいので、とても打ち心地が良いです。拳のパッドは、使っているうちにどんどん拳に馴染んでいきます。
コンパクトに切れ味よくミットを打つためのグローブ、という印象です。
<スパーリングにも使える?>
拳のパッドが決して厚くなくコンパクトなグローブなので、練習相手にパンチが入ってしまいやすいです。相手がしっかりガードを固めていてもパンチがスコンスコン入りやすいのでダメージを与えやすくて危ないですし、弾力があるとはいえパッドが柔らかいので拳を傷めやすい。
コンパクトなので動作性に優れているし、パンチを受けたり流したりディフェンスをしやすいのですが、 拳のパッドが薄いだけでなく、手首外側のパッドの厚さも不十分なので腕の保護には不安があり、スパーリングには不向きです。衝撃がけっこう来るので、手首の外側でパンチをブロックするとけっこう痛いです。
先ほど書きましたが、手首が細い人が使うとベルクロの余った部分を手首に固定しきれずにハミ出てしまいますから、やはりこのグローブはスパーリングには不向きです。
そもそも、ベルクロのグローブはスパーリングで使用することを前提に作られていませんから、パワーロックをスパーリングに使いたいなら、レース式を購入しましょう。
アメリカのジムで見ている限り、スパーリングでよく使われているエバーラストのグローブはパワーロックではなく、プロテックスや1910です。
ごく軽めにスパーリングをするならパワーロックでも悪くないと思いますが、基本的にパワーロックはスパーリングパートナーにイヤがられてしまうグローブです。
<価格>
アメリカのエバーラスト公式ウェブサイトでは$99.99。以前は日本からエバーラストのウェブサイトで購入して日本に発送してもらうことができたようですが、現在はアメリカ国外からのオーダーを受け付けていないようです。
「パワーロック レース」も$99.99ドル。
プロの試合用、「パワーロック プロ ファイトグローブ」は$149.99。
エバーラストのウェブサイトはアメリカの祝日によくセールをしていて、30%~40%OFFのこともありますから、アメリカ在住の人は、急いでいないなら祝日を狙って購入するのがオススメです。
<評価・採点>
では、このグローブを私の独断により10段階(10=最高)で評価します。
デザイン |
8 |
耐久性 |
6 |
スパーリング |
5 |
ミット打ち |
8 |
サンドバッグ |
6 |
質感 |
7 |
快適さ |
8 |
拳や体の保護 |
6 |
コスパ |
7 |
総合評価(平均点) |
6.77 |
<最後に>
パワーロックは、サンドバッグを打つ練習があまり好きではなく、ミット打ちが好きな人にオススメのグローブです。
サンドバッグを打ったりスパーリングに使うと消耗が早いのですが、ミット打ちや、ダイエット目的でエクササイズ程度のボクシングに使用するなら長持ちします。
エバーラストはパンチが強い人が使う印象がありますが、パワーロックはコンパクトであることとバランスの良さが売りのグローブではないでしょうか。 他のブランドの12オンスのグローブと比べてもコンパクトな印象ですし、自分の拳に振り回されてしまう感じがしませんから、上級者だけでなく初心者にもよさそうです。
この記事を書いている時点で、エバーラストのウェブサイトではパワーロックは9種類の色が用意されていますので、お気に入りの色が見つかるのではないでしょうか。
以上、エバーラストの大人気グローブ、パワーロックをご紹介いたしました。