ベジタリアン、プラントベース、菜食、ヴィーガン、なにが違うの?

「ベジタリアンとヴィーガンは何が違うの?」「ベジタブルしか食べないからベジタリアン?でもヴィーガンも野菜しか食べないんでしょ?」「プラントベースは植物が主体という意味?だったら少量の肉・魚・乳製品・卵を食べてもよいの?」

日本でもベジタリアンやヴィーガンの人口が増えてきているようで、それに伴いベジタリアンやヴィーガンのお客さんに対応できるお店も増えているようですが、このように混乱や誤解をしてしまうのも無理はありません。私も以前はベジタリアンやヴィーガンの違いが分かりませんでした。

私が生活しているアメリカでは、菜食人口の増加に伴い、外食や食材の買い物でもベジタリアンやヴィーガンが不自由することがあまりなくなってきましたが、ほんの10年ほど前まではアメリカでも「ベジタリアンとヴィーガンは何が違うの?」と話題になることがよくありました(今でも完全になくなったわけではありません)。

一言にベジタリアンといっても細かく分かれているし、ベジタリアンの定義は国によって多少異なるようです。この記事では、主要なダイエットをご紹介いたします。

※本文ではダイエットという単語を「痩せるための食生活」ではなく「食事、食事法、食生活」という意味で使用しています。

 

  • スタンダードダイエット 

「植物性食品+肉+魚介類+鶏卵+牛乳・乳製品」

一般的な欧米人や日本人の食生活。野菜、穀物、フルーツなどの植物性食品だけでなく、牛、豚、鶏、羊、馬などの肉、臓器、軟骨、手足、舌、皮など、そして魚介類、鶏卵、牛乳・乳製品(チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム等)などの動物性食品全般を消費します。

 

  • ラクトースフリー Lactose-free

肉、魚介類、鶏卵などを消費しますが、牛乳と乳製品(チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリーム等)を消費しません。

 

  • エッグフリー Egg-free

肉、魚介類、牛乳・乳製品を消費しますが、鶏卵を消費しません。

 

  • グルテンフリー Gluten-free

グルテンは、小麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種で、グルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質が絡み合ってできたもの。グルテンフリーは、このグルテンを含んでいない食事や食品を意味します。

グルテンが原因の可能性がある症状としては、自己免疫疾患のセリアック病、グルテンを消化しにくいことで慢性的な不調が現れるグルテン不耐症(過敏症)が知られています。慢性的な不調の原因がグルテンである場合、小麦粉製品を摂取しない食事法であるグルテンフリーを実践することで体質改善が期待できます。思い当たる方は一定期間グルテンを抜いて症状が改善されるかどうかを試し、グルテンの影響を確かめてみてもよいかもしれません。

私たちが慣れ親しんでいるパン、パスタ、ラーメン、うどん、ケーキ、クッキーなどの小麦食品を避けるだけではグルテンフリーにはなりません。市販の蕎麦麺には小麦粉が含まれていることがとても多く、醤油や味噌などの調味料、カレーのルー、天ぷらや揚げ物の衣、乳化剤や増粘剤のように食感をモチモチにするための添加物としてや、ハムやウインナーなどを安上がりに増量させるため、などグルテンは幅広く使用されています。つまり、グルテンを厳密に避けるには調味料と加工食品を厳選することになります。

 小麦粉の代わりに米粉や蕎麦粉などを使えばグルテンフリーのパン、麺類、ピザ、お好み焼き、クッキー、ケーキなどを作れますし、醤油、味噌、パン、パスタなどもグルテンフリー商品が販売されていますから、自炊するならグルテンフリーは決して難しいことではありません。グルテンフリーに対応しているレストランもあります。

グルテンフリーは、肉食、ベジタリアン、ヴィーガンを問わず、実行できます。

シャンプーやリップスティックなどの日用品にもグルテンフリー製品があります。

 

  • ベジタリアン Vegetarian

ベジタリアンの食事には、基本的に牛・豚・鶏などの動物肉と魚が含まれていません。つまり、”顔のあるものを食べない”のがベジタリアン。

一言にベジタリアンといっても、とても細かく分かれています。ベジタリアンの多くは肉を食べませんが、鶏卵や乳製品などを消費します。

ヴィーガンに対応できるお店以上にベジタリアンに対応できるお店が多いので、ご自身のダイエット(食事法)がどれに当てはまるのか、食事を変えようと思っているが自分はどのダイエットに興味があるのか、などを把握しておくとよいかもしれません。

  • ラクトオボベジタリアン Lacto-Ovo Vegetarian  「植物性食品+鶏卵+牛乳・乳製品」
  • オボ・ベジタリアン Ovo Vegetarian 「植物性食品+鶏卵」 
  • ラクトベジタリアン Lacto Vegetarian 「植物性食品+牛乳・乳製品」

 

ベジタリアンの定義はとても広く、顔のあるものを食べるベジタリアンもいます。

  • ペスカタリアン Pescatarian 、ペスコベジタリアン Pesco-Vegetarian

「植物性食品+魚介類+鶏卵+牛乳・乳製品」

イタリア語のPesce(魚)が語源。

「植物性食品+魚介類+鶏卵」

「植物性食品+魚介類+牛乳・乳製品」

「植物性食品+魚介類」

「植物性食品+魚介類」

これらも全てペスカタリアンですが、「植物性食品+魚介類」はペスコヴィーガンPesco-Veganと称されることもあります。

 

肉を消費するベジタリアンもいます。

  • ポヨタリアン Pollotarian, ポヨベジタリアン Pollo Vegetarian 

「植物性食品+鶏肉+鶏卵+牛乳・乳製品」

スペイン語のPollo(鶏)が語源。 牛、豚、羊、馬などの肉と魚介類は食べないが鶏肉を消費するのがポヨベジタリアン。

「植物性食品+鶏肉+鶏卵+牛乳・乳製品」

「植物性食品+鶏肉+鶏卵」

「植物性食品+鶏肉+牛乳・乳製品」

「植物性食品+鶏肉+鶏卵+牛乳・乳製品」

「植物性食品+鶏肉」

以上も全てポヨベジタリアンに該当します。

 

  • ぺスカ・ポヨタリアン Pesce-pollotarian

「植物性食品+鶏肉+魚介類+鶏卵+牛乳・乳製品」

牛、豚、羊、馬などの肉は消費せず、鶏肉、魚介類、鶏卵、牛乳・乳製品を消費します。これは現在スタンダードダイエットの人が食生活を変える入り口にオススメ。続けているうちに肉への欲求が減っていく人が多いようです。

「植物性食品+鶏肉+魚介類+鶏卵」

「植物性食品+鶏肉+魚介類+牛乳・乳製品」

「植物性食品+鶏肉+魚介類」

以上も全てペスカ・ポヨタリアン。

ペスカタリアン、ポヨタリアン、ぺスカ・ポヨタリアンはセミベジタリアンに分類されています。

ちなみに古い文献では、ベジタリアンが完全菜食を意味していることもあります。

 

  • 地中海式ダイエット Mediterranean Diet

1960年ごろにイタリアやギリシャなど地中海沿岸の国で食べられていた食事を模した食事法。魚介類、野菜、果物、全粒穀物、豆、ナッツ、オリーブオイルが中心。赤肉は殆ど食べず、鶏肉、卵、乳製品は少量を頻度を少なめに摂取。ベーコン、ハム、ソーセージなどの加工肉や、砂糖を使用しているお菓子などの加工食品、精製油(サラダ油など)は避けるべき食品とされています。

 

  • ノンミートイーター Non-meat eater 

「肉だけ食べない」

動物肉を消費することはありませんが、豚骨スープ、鶏がらスープなどの肉料理を食べる人を表します。例えば、豚骨ラーメンを食べることはありますが、チャーシューや角煮など肉のトッピングは外します。魚介類、卵、乳製品の消費は人それぞれ。肉は食べないが豚や鶏などの皮は食べるという人もいます。

 

  • フレキシタリアン Flexitarian 

「植物性食品+たまに動物性食品」

菜食の食事を心がけるが動物性食品を食べることもあり、時と場合により柔軟(=flexible)に対応する食生活のことを指します。動物性食品を食べる頻度は決まっておらず、「自炊は菜食、外食は自由に雑食」「家族と一緒に食事するときだけ動物性食品も食べる」「肉や魚は付き合いで少し食べるだけ」「どうしても食べたくなったときだけ動物性食品を食べる」など、人それぞれ。

 

  • リデュースタリアン Reducetarian

フレキシタリアンと同じような食事法にリデュースタリアンがあります。動物性食品の消費を控えめにすることを常に意識する食事法。動物、健康、環境保護、美容などのために、植物性の食材を増やして食事を少しでも菜食に近づけます。菜食の食事を徹底することが困難な人も、控えめにすることは難しくないかもしれません。

 

  • 菜食

肉だけでなく、魚介類、鶏卵、牛乳・乳製品など、一切の動物性食品を消費しません。食材だけでなく動物性の調味料や調理油なども避けるので、鰹節やラードなども使用しません。

「菜食主義者は野菜とサラダしか食べないんでしょ?」と誤解されることがよくありますが、植物性の食材は幅広く、米、麦、豆、芋などの穀物、蕎麦などの雑穀、フルーツ、ナッツ・種子類、海藻、植物油なども植物性の食材ですから、ご飯(白米、玄米、もち米)だけでなく、蕎麦、うどん、ラーメン、パスタなどの麺類、パン、カレーライス、揚げ物、炒め物、鍋など、和食、洋食、中華料理などの、あらゆる料理を楽しむことができます。

原材料が植物性の模造肉(代替肉とも呼ばれる。大豆ミートなど)や、植物性のミルク・チーズ・バター・ヨーグルト・アイスクリーム(原材料は豆乳、アーモンド、ココナッツ、ライス、カシューナッツなど)の品揃えも増え続けているので、ハンバーガー、ベーコンチーズバーガー、ピザ、ホットドッグ、牛丼、チャーシュー麺、オムライス、麻婆豆腐、唐揚げ、串揚げ、ヨーグルト、アイスクリームなど、まさにどんな料理も植物性の食材だけで食べることができます。

「菜食に興味があるけど、得体の知れないものを食べないといけなくなりそう…」

このような思い込みや先入観から菜食を不安視してしまう人が決して少なくないのですが、植物性のカップ麺、インスタントラーメン、スナック菓子、冷凍食品もありますし、スタンダードダイエットの方々の日常的な食事は食材の半分以上が植物性なのですから、菜食主義者は特殊なものを食べているわけではありません。

 

  • 精進料理

仏教とともにアジア大陸から日本へ伝わり、戒律に基づいて殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼に調理された料理。煮出汁(にだしじる)など精進料理の調理技法は日本料理の基礎になりました。

仏教の戒めである不殺生に反するため動物性の食材が禁忌とされているだけでなく、五葷(ごくん)の使用も避けるので、”五葷抜き”、または、”オリエンタルヴィーガン”などと称されることもあります。五葷の定義は時代や地域により異なりますが、多くの場合、ネギ属であるネギ、らっきょう、ニンニク、玉ねぎ、ニラ(他にアサツキ、パクチーなど)を指します。生臭坊主という言葉がありますが、たしかに五葷や動物性食品を食べると口臭や体臭が気になりますよね。

精進料理が五葷を禁じる理由は、五葷には興奮剤のような働きがあるので、高揚したり気分への影響が強く、性欲や怒りの感情をコントロールするのが難しくなってしまうから。肉食を絶って心身を清め、雑念を捨てて一心に仏道修行に専念・精進するための食事であり、シンプルながらも美しい健康食として国内外から注目されています。

 

  • マクロビオティック(略:マクロビ)

陰陽を取り入れた長寿法、食事法、思想。日本人の思想家が提唱。もともとは玄米菜食でしたが近年は定義がやや曖昧になり、完全な菜食であるべきという主張もあれば、時として小魚や鶏卵の摂取を認める指導者もいるようです。

玄米にこだわりすぎる(玄米至上主義)、生のものを食べなさすぎる(生食を避ける、または少ない。基本的になんでも加熱して食べる)などのように、”こうでないといけない”という決まりごとが多い印象を持たれがちな食事法。油もやや過多ですが、以下のように、良い点もたくさんあります。

  • 穀物は全粒穀物にこだわる(玄米、全粒小麦など)
  • 精白されていない穀物を食べる(白米、うどん、そうめん、などはNG
  • 食物を精製しない。皮や根も捨てずに自然な状態のものを丸ごと食べる
  • 穀物の粉化の禁止(小麦粉などの粉食を避ける)
  • 有機農法などで生産された良質な食材を優先して選択する
  • 醤油、味噌などの調味料は原材料が無農薬や有機栽培のもので無添加を優先
  • 塩も上質なものを選ぶ
  • 砂糖を使わない
  • なるべく加工食品を食べない
  • 地産地消。近くで収穫された季節ごとのものを食べるのが望ましい
  • 気候に合わないものは食べない。日本のような温帯地域で生活している限り、バナナ、マンゴー、カレー、クミンシードなど熱帯原産の食材は使いません。

元々は油物を摂りすぎてはいけないとされていたようですが、近年は油物がずいぶん許容されるようになっています。

マクロビを実践して健康を取り戻したり、重病や難病を完治させた症例は少なくないのですが、その後もマクロビの食事法を続けているうちに体調が悪化したり、病気が再発してしまうこともあるようです。マクロビは普遍性のなさで知られていますが、一般的な食事よりは遥かに健康的であると判断できる面もあり、実践者は海外にも少なくありません。

 

  • ヴィーガン、ビーガン Vegan

 ネットや辞書などで日本語でヴィーガンを検索すると、「完全菜食主義者」「極端な菜食主義者」という説明が出てくることがとても多いですが、ちょっと違います…。

ヴィーガンの定義は「可能な限り、食べ物・衣服・その他の目的のために動物の搾取を取り入れないようにする生き方」。ヴィーガンという言葉は1944年のイギリスで生まれ、世界中で多くの人がこの生き方を選択するようになっていきました。

動物搾取に反対する思想に基づいた行動の一つとして植物性100%の食事を選択するのがヴィーガンですから、食材選びに気をつけるだけでなく、動物実験を経て販売されている化粧品、石鹸、歯磨き粉などの日用品や、バッグ、帽子、服、ベルト、クルマのシート、家具などの革製品、コートやアクセサリーなどの毛皮製品の購入・使用を避けるだけでなく、動物園や水族館などの利用も避け、競馬、闘犬、闘鶏、ペット産業、クジラやイルカ漁にも反対します。ヴィーガンの脱搾取と平等の思想は、人種差別反対、性差別反対、フェアトレード支持、天皇制反対、反出生主義などにも通じるのです。

革や毛皮製品を好む菜食主義者はヴィーガンの定義から外れますが、すでに購入済みのものは大事に使い切るヴィーガンもいますし、ヴィーガンではない人に転売する選択をするヴィーガンもいます。

精進料理に蜂蜜を使っても大きな問題にはなりませんし、一部の菜食主義者もハチミツを許容していますが、ヴィーガンは蜂蜜も口にしません。製造過程で間接的に動物を犠牲にしている白砂糖、パーム油、トリュフなどの使用を避けるのもヴィーガンの特徴であり、鰹節の出汁、魚介エキス、ゼラチンなどの使用も避けます。食品添加物が動物実験を経て認可されていることを理由に、日々の食事から食品添加物を排除しているヴィーガンも存在します。( 食品添加物の消費を避ける最も簡単な方法は、加工食品を原則的に消費しない食事法であるホールフードプラントベース)

「ヴィーガンは食事制限が厳しくてストイック」と言われてしまうことがありますが、これは大きな誤解。犬を大好きな人が犬の肉を食べないのと同じく、ヴィーガンは厳しい食事制限を自分に課しているのではなく、食べたいという気持ちがなくなっているのです。健康のためではなく倫理的な動機で菜食を選択するのがヴィーガンなので、「ヴィーガン=ヘルシー」とは限らず、甘いものや濃厚なものも食べることもできます。健康に配慮して食材と調味料を厳選しホールフードプラントベースを心がけるヴィーガンもいますが、毎日ビールや日本酒などを飲んで揚げ物やインスタント食品をよく食べるヴィーガンもいます。

ヴィーガンは主義・思想の一部として菜食の食事を実践しているのですが、一般的に、特に”食事や健康に関する話題をしている時”は“完全菜食の食事法”としてヴィーガンという単語が使われるので、そこがヴィーガニズムと混同されてしまい、ややこしいのです。

脱動物搾取だけでなく地球環境の保護といった倫理面にも重きを置いて菜食を実践する人をエシカル・ヴィーガン、 健康や美容効果などを目的に菜食を選択する人をダイエタリー・ヴィーガン、、、このように名称を区別することもあるようです。

日本ではヴィーガンへの誤解と偏見が強く、ヴィーガンといえば、貧弱、軟弱、不健康、ガリガリ、堅苦しい、ストイック、ヒッピー、変な宗教......などのイメージを持つ人が多いかもしれませんが、アメリカを含む海外でヴィーガンといえば、栄養十分、綺麗、清潔、セクシー、ヘルシー、ムキムキ、活発、知的、合理的、若々しい......このようなイメージを持つ人も少なくありません。

アメリカでは加工食品のパッケージやレストランのメニューに「V」「Ⓥ」「VEGAN」などの表示がついていることがよくあり、原材料が植物性100%であることを知らせてくれます。とても分かりやすい印なので、ヴィーガンだけでなく、アレルギー、宗教上の理由、健康目的など様々な理由で動物性成分を避けている人に好評です。

加工食品にVEGANの表記があるからといって、製造者がヴィーガンであるとは限りません。あくまでも原材料が動物性不使用であるという印であり、白砂糖やパーム油などが含まれていることはよくあります。

ヴィーガンのレストランは、メニューがすべて植物性のもので構成されているだけでなく、店の内装も動物性の素材が不使用であることや、経営者もヴィーガンであることが珍しくありません。

 

  • プラントベース Plant-Based Diet

 動物性食品を、完全に、またはほとんど排除した食事法がプラントベースダイエットですが、市販の食品やメニューなどに”プラントベース”という表示がある場合、それは「100%植物性」であることを意味しています。

「健康や美容効果が大きいので、できるだけ動物性食品の消費を控えている」

「ヴィーガン料理ばかり食べているけど、肉や卵などを少し食べることもある」

「いつもだいたい菜食」

「動物性食品を食べることは滅多にない」

「食事は常に完全菜食」

以上は全てプラントベースダイエットに該当します。プラントベースは定義がやや広く、ベジタリアン、フレキシタリアン、地中海式ダイエットなども広義のプラントベースダイエットに含まれます。

「思想とか信条とか、ヴィーガンの理屈っぽい部分からは離れていたい」

「単純に菜食が好き」

「私はヴィーガンだけど、ヴィーガンであることを知られたくない」

このような理由により、ライフスタイルはヴィーガンでありながらヴィーガンを名乗らない人も英語圏には少なからず存在します。

プラントベースの実践者の多くは、健康・美容効果・スポーツのパフォーマンス向上などを目的に菜食を選択しているので、主義・思想をもとに菜食を実行しているヴィーガンとは異なり、動物実験やペット産業への関心、日用品の選択基準などは人それぞれ。

繰り返しになりますが、アメリカでは、ベジタリアンやフレキシタリアンの食事が「プラントベース」と表現されることもありますが、食品のパッケージやメニューにPlant-Basedと表示されている場合、それはVEGAN表記と同じく、原材料が植物性100%であることを示しています。

日本ではプラントベースは「植物が主体」「植物性が基本材料」のように解釈されてしまうことがとても多く、プラントベースと表記されている食品に多少の動物性成分が含まれてしまっていることがよくあるようです。健康、環境保護、宗教上の理由、アレルギーなどを理由に卵、牛乳・乳製品、魚介類などを避けている(訪日)外国人も決して少なくないので、表示基準を海外と同じにしたほうがよさそうです。

 

  • ホールフードプラントベースWhole Food Plant Based(以下、WFPB

 ホールフードは、

  • 天然の形状にできるだけ近い食品
  • 加工の度合いが極めて低い食品

 を意味します。

リンゴで例えると、アップルパイでもリンゴジュースでも焼きリンゴでもなく、木から採れた状態のまま皮を剥いていない状態のリンゴのこと。お米は白米よりも玄米を選ぶということになります。

“プラントベース”は菜食を意味します。

つまり、WFPBは、”加工の度合いの低い植物性食品を食べる食事”ということ。

体によいものを、出来るだけ加工度の低い自然な状態のまま食べるシンプルな食事法であり、栄養豊富でバランスがよいだけでなく、咀嚼回数が増えて消化にもよいのです。

砂糖、油、栄養吸収を阻害する可能性のある食品添加物など、体の負担になりそうな加工度の高い食品はホールフードとはかけ離れているので、摂取を推奨しません。

菜食=ヘルシーとは限らず、カロリーが高くて栄養価が低いにもかかわらず、まるでヘルシー食品のフリをして販売されているヴィーガンの加工食品が少なくありませんが、WFPBでしたら健康面のメリットも期待できます。

  • 白米よりも玄米
  • 芋、ニンジン、大根、リンゴなどは皮ごと食べる
  • ゴマ油よりも練りゴマ、練りゴマよりも未加工のゴマを丸ごと食べる
  • フラックスシードオイル(亜麻仁油)よりもフラックスシードを食べる
  • アボカドオイルよりもアボカドを丸ごと食べる

 WFPBは満足度が高くて持続性があり、人体に最も適した食事法の一つであることが科学的に実証されていて、実践者の多くが心身両面で大きな向上を実感しています。安心して続けることができる健康的で理想的な食事法なのです。

アメリカでは近年、プロアスリートやセレブリティに限らず、このWFPBを実践する人が爆発的に増えています。

糖尿病、高血圧、がん、肥満、心臓病、肝臓病、腎臓病などは世界中で問題になっていますが、WFPBは、これらの慢性病と生活習慣病を防ぎ、場合によっては逆転させることもでき、長期的な健康を手に入れるには最も適切な食事法であると考えられています。

米国では多くの医師や栄養士がこの食事法を推奨しており、近年、病気の有無を問わずWFPBを取り入れる人が増えています。

米国ライフスタイル医学学会(American College of Lifestyle Medicine)も、健康状態を改善する健康的な食事に、WFPBを推奨・紹介しています。

米国最大の医療グループであるカイザーパーマネンテ(医師約2.3万人、登録患者約1,200万人)も、グループ内の医師に、患者への投薬を減らしてWFPBの徹底を指導するよう通達しています。 予防にフォーカスした医療サービスを提供することで、医療費の高騰を抑えることを目的としているのです。

玄米を食べる、食材は丸ごと全体を食べる、砂糖や添加物を避ける、など多くの点で共通するのでWFPBとマクロビオティックは混同されてしまいそうですが、食養に陰陽論を加えたマクロビオティックは食事法というよりも思想に近く、陰陽を食材や調理法に当てはめて陰陽のバランスをとる、たとえ植物性でも極陰性の食材(トマト、じゃがいも、バナナ等)の消費を避ける、食材を生のまま食べることを勧めない、といったマクロビオティックの主張は、WFPBとは異なります。

WFPBについてさらに詳しく知りたい方は、eBook 「PLANT POWER」をご参照ください。

 

  • ローヴィーガン Raw vegan

 日本でも生菜食として知られていて、決して多くはないですが世界中に実践者が存在します。

植物性の食材を加熱調理せずに生のまま食べる食事法ですが、低温で加熱するのはよしとする実践者もいます。

ヴィーガニズムの一環として実践している人もいれば、ヴィーガニズムとは関係なく、単に病気の治療やスポーツの持久力や回復力向上などを目的に実践している人もいます。

果物をほとんど、または一切消費しない生菜食者もいれば、葉野菜をほとんど消費しない生菜食者もいて、一言に生菜食と言っても食材は人それぞれ。調味料を使う人もいれば、調味料をほとんど、または一切使用しない人もいます。

 

  • フルータリアン

 フルーツしか食べない人のことをフルータリアンと呼びます。ナッツと種子類を摂取するフルータリアンもいれば、摂取しないフルータリアンもいます。調味料は基本的に不要であり、塩すら摂取しないフルータリアンも存在します。当然ですが、フルータリアンはローヴィーガンの一種です。

ローヴィーガンもフルータリアンも、WFPBの一部です。

 

<できそうなダイエットに挑戦してみよう!>

日本で外食の多い生活をしていても、ポヨベジタリアン、ペスカタリアン、フレキシタリアンを実行することは難しくないですよね。菜食に興味を持ったら、いきなり動物性食品を全てやめることはできなくても、まずは牛肉だけやめてみてから徐々に豚肉もやめてみたり、牛乳と乳製品をやめてから徐々に肉を食べる頻度を減らしてみたり、牛乳を豆乳に代えてみたり、できることはたくさんあります。

  • 牛肉をやめて、徐々に豚と鶏の消費も減らしていく
  • 牛、豚、鶏のうち、あまり好きでないものをやめる
  • 肉は鶏肉だけ食べる(ポヨベジタリアン)
  • 加工肉(ハム、ベーコン、ウインナー、魚肉ソーセージなど)をやめる
  • 動物性の加工食品(加工肉、加工魚肉製品、乳製品、卵加工食品)をやめる
  • 肉と魚を食べる頻度を減らして植物性の食事の割合を増やす (リデュースタリアン)
  • 肉をやめる(ペスカタリアン、ベジタリアン、ノンミートイーター)
  • 肉と魚をやめる(ベジタリアン)
  • 牛乳と乳製品をやめる(ラクトースフリー)
  • 卵をやめる(エッグフリー)

特定のダイエットにこだわらなくても、動物性食品の消費を減らしていく方法は他にもあります。

  • 週に1日だけは菜食を徹底する
  • 毎日の朝食は動物性を避ける
  • 家では菜食、外食ではベジタリアン
  • 自炊は菜食、外食や付き合いでは肉も食べる(フレキシタリアン)
  • 平日は菜食、週末は肉も食べる
  • 平日は肉も食べる、週末は菜食
  • 朝と昼は菜食、夜は動物性食品あり
  • 朝と夜は菜食、職場の同僚と一緒に食べるランチは動物性食品あり

 人はそれぞれ生活習慣が違いますから、無理なく実行できそうなことから始めてみましょう。

「私の思想や倫理観に一致している」「新しい食生活を想像すると楽しい」「なんだかワクワクする」「楽しめそう!早くやりたい!」

このように思えるダイエットがあるなら、それは今のあなたに理想的なダイエットかもしれませんよ!